ラリー・チャールズ監督作「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」("The Dictator" : 2012)[DVD]

独裁国家の最高指導者が腹心の裏切りに遭い、ニューヨークへ身元不明な状態で放り出されてしまい、復権すべく奮闘する様を描くブラック・コメディ作品。

 

中東の独裁国家ワディヤの最高指導者アラディーン将軍は、1973年の誕生後、唯一の後継者として7歳で現在の地位に就く。(母は出産と同時に殺される。)ワディヤは石油で儲けた潤沢な資金を保有しており、アラディーンはその金を自らの欲望の赴くままに費消している。また、ワディヤは核兵器開発が疑われているものの、国連武器査察団の入国を拒否しており、国際社会はワディヤをならず者国家と称して懸念を深めている。

そんな折、アラディーンは国民に対して、二ヶ月でウラン濃縮が完了すると発表する。その後、アラディーンは参謀でおじのタミールを連れて、核ミサイルの研究・開発を進める秘密施設を視察するが、開発途中のミサイルの貧弱ぶりに失望する。アラディーンは二年前に開発責任者ナダルを、試作機のデザインにおける見解の不一致が原因で処刑しており、開発を主導する有能な研究者がいなくなった為である。タミールは核兵器が無いと宣言する事で、国連の制裁が解除されれば、採油権が売れると進言するが、アラディーンは「決して石油は売るな」という父の遺言を盾にそれを拒む。

タミールは度々アラディーンの暗殺を企てるが、その都度用意される影武者に阻まれており、新たな策を講じる。タミールは間の抜けたアラディーンそっくりな男エファワードを部下に探し出させると、新たな影武者に仕立て上げる。時を同じくして、国連安保理はワディヤが国連演説で核問題への声明を出さない限り、空爆を開始する事を通告する。それを受け、アラディーンは国連本部のあるニューヨークに乗り込む決意を固める。

アラディーンは渡米すると、ニューヨークで仰々しいパレードを行い、市民にブーイングで迎えられる。アラディーンは宿泊先のランカスター・ホテルに到着し、タミールから護衛クレイトンを紹介される。演説を翌日に控え、アラディーンは特別に改装されたスイートで眠りに就く。その夜、アラディーンは寝込みをクレイトンに襲われ、拉致された後、倉庫で監禁される。アラディーンはクレイトンの用意した古めかしい拷問器具に茶々を入れ、クレイトンを翻弄する。クレイトンはアラディーンの顎髭を剃り落とし、それを火炎放射器で燃やすが、勢い余って全身に引火してしまう。火はアラディーンを縛っていたロープに延焼し、クレイトンは火だるまになる。アラディーンは拘束から逃れ、倉庫から脱出する。

夜が明けると、アラディーンはホームレスから服を奪って、国連本部前に赴く。アラディーンは本部前に押し寄せるデモ隊に紛れて、警備を担う警察官に自らがアラディーンだと訴えるも相手にされず、手を拱く。程なく、アラディーンはタミールがエファワードと共に車で本部入りするのを目撃し、タミールに裏切られた事を確信する。

エファワードは演説に臨み、醜態を晒すも、タミールが用意した原稿を読み上げ、敵対路線からの脱却と国連との協調を進める事、更に新憲法を起草し、独立記念日に署名する事で、独裁が終わり、ワディヤが民主主義国家に生まれ変わると宣言する。 それを本部前のスクリーンで見たアラディーンは猛然と反発し、本部に押し入ろうとするが、警備隊に退けられる。そこに居合わせたフェミニストの人権活動家ゾーイがアラディーンを救出する。タミールはアラディーンを排除した後、採油権を各国に売却し、仲介料をせしめようと画策する。

アラディーンはゾーイに名前を尋ねられ、街の看板を元に咄嗟にアリソン・バーガースと名乗る。ゾーイは自らが営むブルックリンの非営利団体の食料品店にアラディーンを招くと、そこが差別も独裁も無い世界を志向しており、働いているのがみな政治難民だと明かし、アラディーンの境遇に理解を示す。アラディーンは店に寄付された服を貰うも、ゾーイの価値観と政治信条に嫌気が差し、悪態をついて店から立ち去る。一方、タミールは倉庫火災の記事を見て、アラディーンが死んだと確信する。

アラディーンは再びランカスター・ホテルに赴くも、門前払いされる。その後、アラディーンは偶然通りがかったアップルショップで働くナダルを発見する。アラディーンは勤務を終えたナダルの後をつけ、リトル・ワディヤ内の反アラディーンを掲げるレストランに辿り着く。そこではかつてアラディーンが処刑命令を下した者達が従業員として働いており、アラディーンは従業員達に本人だと疑われ、窮地に陥る。そこにナダルが割って入り、自分のいとこだと偽る事でアラディーンを救う。ナダルは、ワディヤで処刑された者達が実は執行人に逃がしてもらっており、全員リトル・ワディヤに送られ、生きている事を明かす。アラディーンは影武者に乗っ取られた事を明かし、独裁の座を奪い返す為に協力を請う。ナダルは自らを核施設の責任者に復帰させ、ミサイルに自分のデザインを反映させる事を条件に引き受ける。

新憲法への署名が三日後に迫る。ゾーイの店が、署名の会場となるランカスター・ホテルのケータリング契約を受注した事が判ると、ナダルはアラディーンがゾーイの店で働く事でホテルへのパスを入手し、影武者と交代して全世界の前で憲法を破り去る様に提案する。アラディーンは再びゾーイの店を訪ね、前日の振る舞いを詫び、スタッフとして雇ってもらう。アラディーンは傍若無人な働き方で業務をこなす。

また、ナダルは観光客を騙ってツアーヘリに乗り、ホテル周辺の偵察を行う事を提案する。アラディーンはナダルと共にヘリに乗り込むが、二人の言動が乗り合わせた夫妻にテロを企図していると誤解され、逮捕される。署にゾーイが駆け付け、誤解が解けた事でアラディーンは釈放される。アラディーンは、人種差別だと警察に猛然と抗議するゾーイの様子を見て、好意を抱く。騒動が報道された事で、タミールはアラディーンが生きている事を知り、計画が妨害される事を危惧する。

その後、アラディーンの客への接し方がきっかけとなり、ケータリングがキャンセルされる。そんな事情を知らず、失意に暮れるゾーイに代わり、アラディーンが店の指揮を取る事になる。アラディーンは独裁的手法と不正を働く事で店の評価を上げ、一方で競合店を蹴落とす事に成功する。

アラディーンは署名当日に着ける顎髭を調達すべく、ナダルと共に、死去した麻薬王の葬儀場に潜入する。二人は棺桶に眠る麻薬王から顎髭を刈り取ろうするが、手間取っている間に親族に見つかり、已む無く首を切断して持ち出す。アラディーンがその生首を競合店に陳列させた事が決め手となり、ゾーイの店がケータリングの契約を取り戻す。

その日、ゾーイの店に客として訪れた女が陣痛を起こした為に、アラディーンは医者を騙ってゾーイと共に赤子を取り上げる。アラディーンはゾーイと距離を縮め、その夜、関係を結ぼうとする。ゾーイはずっと一緒にいたいと告白する。アラディーンは完成した顎髭ウィッグを着け、自らがゾーイの糾弾する独裁者アラディーン本人だと打ち明ける。ゾーイはアラディーンがホテルに侵入する為に自分を利用したのだと悟り、憤慨する。アラディーンはゾーイの魅力に惹かれれたのだと弁明するが、ゾーイは店から出て行く様に命じる。

署名を翌日に控え、ワディヤでは国民が独裁の終わりに歓喜し、祝福ムードに包まれる。その様子をテレビで見たアラディーンは、いかに自分が嫌われているのか知り、橋から川へ身投げしようとする。そこにナダルが駆け付け、このままでは報道が自由化され、公民権まで主張されてしまうと嘆くと、周辺国の独裁者が全滅した今、アラディーンこそが国の為に生きるべきだと説き、自殺を止める様に諭す。奮起したアラディーンは最高の独裁者になる事を決意する。

翌日、ホテルで署名の準備が整えられる。アラディーンはホテルの隣のビルからエファワードが泊まる部屋にワイヤーを張り、滑車で侵入を図る。アラディーンはエファワードに銃を突き付けるが、殺すのを躊躇い、タミールの謀略を暴露する。しかしエファワードは間抜け故にそれを理解できず、アラディーンはエファワードに成り代わってタミールと共に会場入りする。

世界中の人々が固唾を呑んで署名の瞬間を見守る。タミールは署名に先立って挨拶し、新たな時代が始まり、ワディヤが世界に開かれると説くと、アラディーンに署名を促す。アラディーンが署名の証書を破ろうとすると、タミールはアラディーン本人だと気付き、偽物だと指摘する。アラディーンは逆にタミールの謀略を暴露し、タミールはその場で逮捕される。

アラディーンは新憲法が成立すると、国が石油会社に売り渡されてしまうと説き、ワディヤが今後も独裁国家だと主張し、証書を破り捨てる。その上でアラディーンは、もしアメリカが独裁国家だったら、国民の1%に全ての富を集中させ、金持ちの税金を減らしてもっと金持ちにし、損をしても救済措置を行う事ができ、貧乏人の健康と教育など気にする必要は無く、盗聴や捕虜虐待や不正選挙もでき、更に理由をでっち上げて戦争だってでき、同じ人種ばかり捕まえることもでき、メディアも自由の名の下で一族で牛耳る事ができ、そのメディアを使って国民の不安を煽る事で、国民に不利な政策でも指示を得られると説く。アラディーンは更に民主主義とは何か想像してみて欲しいと訴え、出口なき議論と下らない意見に終止し、障害者も黒人も女の票も皆同じ1票で最低なものだとこき下ろす。アラディーンは会場に駆け付けたゾーイを見つけると、民主主義は欠陥だらけだが、そんな民主主義を愛していると説き、ワディヤで真の民主主義、憲法、選挙を実現する事を宣言する。アラディーンはゾーイを抱き締め、妻にする事を宣言する。その時、タミールがSPから銃を奪い、アラディーン目掛けて発砲する。そこへエファワードが駆け付け、アラディーンを庇って頭に被弾する。エファワードは頭が空っぽ故に助かる。

その後、ワディヤでは初の自由選挙が行われるが、不正によりアラディーンが結局勝利を収め、首相大統領将軍の座に就任する。一年後、アラディーンはゾーイと結婚式を開く。ゾーイはアラディーンの忌み嫌うユダヤ人だと告白する。一方、ナダルは核施設の責任者に復帰し、新型ミサイルを開発する。しかし、デザインで再びアラディーンと揉める。程なく、ゾーイは妊娠を発表する。アラディーンは女だったら堕ろす様に請い、顰蹙を買う。

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